【商社・卸売企業向け】FAX・メール・電話受注から脱却! 商社・卸売企業がECサイトに取り組むべき理由とポイントを解説
はじめに
BtoB ECサイトの数は、ここ数年で急速に増加しています。
経済産業省の『令和6年度 電子商取引に関する市場調査 報告書』によると、 2024年のBtoB-EC市場規模は514兆4,069億円に達し、前年比 10.6%増という結果が発表されています。
一口に「BtoB EC」といっても、その形態はさまざまです。
BtoB(Business to Business)とは文字通り、企業間で商品やサービスを取引する仕組みを指します。
一般的なECサイトというと、私たち消費者が食品や日用品、衣料品などを購入する「BtoC(Business to Consumer)」を思い浮かべる方が多いかもしれません。
一方、BtoB ECサイトは企業が企業に向けて商品や資材、部品などを販売するオンライン取引の場です。
BtoB ECサイトについては、過去に詳しく解説した記事を掲載しています。
今回注目するのは、年々規模が拡大するBtoB EC市場の中でも「卸売業(専門商社)」です。
法人企業統計によると、卸売業の総売上高は2022年に323兆6,540億円、2023年に323兆5,702億円、2024年は319兆8,539億円とわずかに減少しています。
その一方で、卸売業のBtoB EC市場規模は128兆8,684億円(前年比6.3%増)、EC化率は40.3%と着実に成長しています。

「卸売ECサイト」は、取り扱う商材や取引の仕組みに独自の特徴があります。
本コラムでは、卸売ECの一般的なBtoB ECとの違い、そして商社・卸売企業がECサイトを展開する際のメリットと課題について解説します。
一般的なBtoB ECサイトとの違い
卸売BtoB ECサイトは、一般的なBtoB ECサイトと比べると、取り扱う商材や提供情報の性質に大きな違いがあります。
1.取扱商材の違い
一般的なBtoB ECサイトでは、オフィス用品や工具、食品原料など、ある程度規格化された商品の販売が中心です。
いわばカタログ販売に近い形態で提供されることが多く、仕様や取引条件も比較的統一されています。
一方で、卸売BtoB ECサイトでは、化学品、鉄鋼、電子部品、医療機器など、業界特化型の専門商材が中心となります。
これらの商材には、以下のような特徴があります。
- 規格や仕様が非常に細かい
- ロット単位が大きく、数量管理が複雑
- 販売先ごとに価格・納期・取引条件が異なる
では、このような特徴がある商材をECサイト上で販売するには、どういった機能を実現する必要があるのでしょうか。
こうした専門性の高い商材をECで適切に取り扱うためには、 商品情報の構造化と顧客ごとの条件管理を柔軟に行える仕組みが不可欠です。
具体的には、商品ごとに必要な規格・仕様を自由に追加できる商品属性のカスタムフィールドや、
メーカー型番・社内型番・後継品などを紐づけて管理する型番マッピングといった機能が求められます。
また、多岐にわたる仕様の中からユーザーが必要な条件に合う商品を探し出せるよう、
詳細フィルタや絞り込み検索を備えることで、専門商材特有の複雑な条件検索にも対応できます。
さらに、卸売ならではの顧客ごとに異なる価格設定に対応するため、取引先の属性や契約条件に応じて自動的に単価を出し分ける
顧客グループ別価格テーブルの仕組みも重要です。
こうした機能を実現することで、卸売ECサイトは単なる「オンラインカタログ」ではなく、複雑な商材・取引条件をデジタル上で適切に表現できるようになります。
2.情報提供の役割
一般的なBtoB ECサイトでは、商品ページには「価格・在庫・仕様」といった基本情報を掲載するのが中心です。
一方で卸売ECサイトでは、商材が専門的で比較検討が難しいため、より高度な情報提供が求められます。たとえば以下のような情報提供が重要です。
- 技術資料、規格書、安全データシート(SDS)などの掲載
- 代替品や関連商品の提案
- 業界動向や活用事例の紹介
このような高度な情報提供を実現するためには、ECサイト側にも専門商材に適した仕組みが必要となります。
たとえば、商品の仕様や用途に応じて代替品・関連商品を自動で提示する関連商品レコメンド機能を備えることで、 購入者が最適な選択肢を比較しやすくなります。
また、業界動向や技術解説、活用事例といったコンテンツをサイト上で提供するために、コンテンツマーケティング機能(CMS連携)も 重要です。
さらに、商品ページ内で事例記事や技術ノウハウ、動画チュートリアル、操作マニュアルなどを関連コンテンツとして紐づけて表示することで、オンラインでも対面営業に近い提案体験を実現できます。
これにより、卸売ECサイトは単なる「商品を並べる場所」ではなく、オンライン上の営業担当者のような役割を担い、購買検討を強力に支援する情報提供プラットフォームとして機能するようになります。
卸売ECサイト導入のメリットと課題
商社や卸売企業にとって、ECサイトを導入することは、単なるオンライン販売の仕組みを整える以上の価値があります。
特に「卸売ECサイト」として設計された場合、受発注業務の効率化と顧客満足度の向上という2つの点において、大きなメリットがあります。
1.注文業務の効率化と生産性向上
従来、FAX・メール・電話を中心とした発注は、営業担当者による手入力が必要で、ヒューマンエラーも起きやすい仕組みでした。
しかしECサイトを導入することで、「受注内容が自動的にシステムに登録される」「処理の手間とミスが削減される」
「営業担当者がより付加価値の高い業務(提案・新規開拓など)に時間を割ける」といった効果が期待できます。
2.データの蓄積と活用
デジタル化により注文履歴や顧客情報が自動で蓄積されることで、需要予測や在庫管理、定期発注の管理が容易になり、従来のアナログ管理では難しかった分析や改善も可能になります。
これは単なる業務効率化にとどまらず、営業戦略や顧客サービスの質向上にもつながるといえるでしょう。
また、サイト利用者である取引先企業にとっても下記のようなメリットがあります。
- 見積りや納期、在庫状況をWeb上でいつでも確認できるため、業務効率が向上する
- 場所や時間を問わず発注が可能
- 新商品や新しい情報をタイムリーに受け取れるため、仕入れ計画や販売戦略に役立つ
このように、卸売ECサイトは商社側の業務効率化と顧客側の利便性向上を同時に実現できる仕組みであり、単に商品を売る場ではなく、商社・卸売企業ならではのサービスをオンラインで提供するプラットフォームとして機能します。
一方で、専門商社がECサイトを運営するには以下のような課題もあります。
社内オペレーションの見直しが必要
FAX・メール・電話中心の業務フローが根強い業界では、EC導入による業務設計の再構築が避けられません。販売管理・在庫システムとの連携や、営業担当者の意識改革が必要となり、DX化の初期負担が大きくなる傾向があります。
顧客側の利用定着に時間がかかる
取引先も長年の商習慣に慣れているため、「担当者に聞いたほうが早い」「メールで十分」と感じるケースも少なくありません。特に専門商材は仕様が複雑なため、利用促進や教育・サポートが求められる可能性があります。
まとめ
専門商社がECを導入することで、取引の効率化だけでなく、
顧客データの蓄積・分析を通じてより精度の高い提案型営業を実現できます。
また取引先の購買行動は、確実にデジタルへと移行しています。
発注のしやすさや情報の見やすさは、今や「選ばれる理由」の一つといえるでしょう。
NSKは、BtoB、BtoC問わずECサイトの構築を専門としています。
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