ECコラム 第13回「BtoB ECとは?ECサイトで受発注業務の効率化を実現!EDIの2024年問題とあわせて解説」

はじめに
近年、DXという言葉が広く用いられるようになり、あらゆる場面でデジタル化が進んでいます。
必要なものを購入する際、店舗に足を運ぶのではなく、ECサイトを利用する機会も増えたのではないでしょうか。
企業間の商取引においても例外ではなく、特に受発注業務に注目すると電話やFAXといったアナログな手段から、BtoB ECサイトを利用するというデジタルな方法へと変化しています。
2023年8月に経済産業省が実施した「令和4年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」によると、2022年のBtoB-EC市場規模は420兆2354億円で、前年(372兆7,073億円)と比べて12.8%増という結果になりました。

https://www.meti.go.jp/press/2023/08/20230831002/20230831002-1.pdf
市場規模が22兆7,449億円のBtoC-EC市場と比較すると、BtoB-ECはBtoCの約18倍の市場規模です。
新型コロナウイルスの影響で一時は落ち込んだものの、BtoB-ECの市場規模は、現在も右肩上がりで拡大を続けています。
今回は、成長を続けるBtoB ECサイトとは何か、またどんなメリットがあるのか、
数か月後に迫ったEDIの2024年問題とともに解説します。
本論
BtoB(企業間取引)における受発注手段を振り返ってみると、元来は発注者と受注者が直接会い、注文内容をその場で伝えるという原始的な手段を取っていました。
現在は電話やFAXのほかにも、インターネットの普及に伴いメールを活用するなど、企業によって様々な受発注手段を利用しています。
こうした受発注手段の一つに、EDIがあります。

EDI(Electronic Data Interchange)は「電子データ交換」を意味する、電子データの送受信を行うツールです。
EDIを用いることで、それまで受発注や請求、支払い等の際に紙書類が発生していたやり取りを、電子データで自動的に行うことが可能となります。
そのため、紙書類の印刷や郵送、自社システムに手入力する必要がなくなり、業務の効率化を実現しました。
しかし、NTT東日本・NTT西日本は2024年1月をもってISDN回線サービス「INSネット」を終了することを発表しています。
このISDN回線とは、EDIシステムの通信に広く利用されてきたものであり、現在も企業間取引に使用されている中でのサービスの終了によって、ISDN回線で提供されているEDIシステムを利用している企業は、早急なシステムの切り替えが求められているのです。
これをEDIの2024年問題といいます。
NTT東日本・NTT西日本によると、IP網移行に至った背景としては固定電話(加入電話・INSネット)の需要の減少、またPSTN交換機の維持限界の到来の2点が挙げられるようです。
いまや私たちの生活になくてはならない存在であるインターネット、そしてスマートフォンの普及は、現代の社会インフラにも大きな影響を与えているのです。
上記でも述べた通り、2024年問題への対応策として、これまでISDN回線を利用してきた企業はシステムの切り替えを行う必要があります。
ここではシステムの切り替え先候補として、BtoB ECサイトの構築をご紹介します。
BtoB ECサイトについて
BtoB ECサイト(Business to Business Electronic Commerce)とは、企業間取引用のECサイトです。 BtoB ECサイトを利用することで、従来の電話やFAXといったアナログな受発注方法ではなく、ネットショッピングをするのと同じような感覚で受発注業務を行うことができます。

BtoB ECサイトは大きく、クローズド型ECサイトとスモール型ECサイトの2つに分けることができます。
クローズド型ECサイトは、一般に公開されていないサイトを指します。
サイトにはアクセス制限がかけられており、閲覧にはID・パスワードが必要です。
そのため、すでに取引のある企業とのやり取りを目的としています。
一方のスモール型ECサイトは上記とは反対に、一般に公開されているサイトを指します。
取引をしたことがない企業でも閲覧可能であり、新たな流入経路としての役割があります。
メリット
BtoB ECサイトは、インターネットと端末さえあれば、どこからでも発注・受注業務を行うことができます。
また、BtoB ECサイトを導入することで、受注者と発注者はそれぞれ以下のようなメリットが期待できます。
受注者
- 業務負担の軽減:
上記と関連して、納期や在庫などそれ以前であれば問合せが必要だった情報を掲載できます。
これによって、電話やメールによる問い合わせ件数の減少につなげることができます。
- 新規顧客開拓:
サイトを公開すれば日本中、世界中から新規顧客を獲得できる可能性があります。
また、Web広告や検索からも新規顧客の獲得が見込める点もECサイトの利点です。
- 売上拡大:
関連商品や売れ筋ランキングの表示や、また既存顧客に対しては限定商品の販売を行うこともできます。ECサイトならではのキャンペーンやポイントを貯める機能などの施策を打ち出すことが、売上の拡大につながります。
発注者
- 利便性の高さ:
ネットショッピングと同じような操作で発注業務を行うことができます。
また、リピート注文を可能にする再注文の機能をカスタマイズすることによって、作業の効率化が可能です。 - ヒューマンエラー防止:
電話やメール等の場合、人為的なミスが発生しやすい環境であると考えられます。
サイトを利用することで、数量や商品の誤発注などの人為的ミスを削減することができます。 - 発注機会の拡大:
関連商品、売れ筋ランキングの表示、またキャンペーンや新製品などの最新情報を受け取ることができます。
そのため、普段とは異なる商品も気軽に発注することができます。
以上より、BtoB ECサイトは 「売上拡大」、「業務効率化」の2点から、受注企業・発注企業の双方にとってメリットがある、導入すべきツールであることがわかります。
機能
BtoB ECサイトは、BtoC ECサイトとは異なる機能が必要とされる場合があります。
ここからは、BtoB ECサイトに導入すべき機能をご紹介します。
顧客管理機能
顧客企業ごとの情報を管理する機能です。
BtoB取引では、取引実績によって与信限度額や掛け率、販売対象商品が異なる場合があります。
顧客管理機能は、これらの情報を管理するために必要な機能です。
見積機能
BtoB取引では多くの場合、商品の発注前に見積書を作成し、稟議申請を行います。
サイト上に見積機能を搭載することによって、煩雑なやり取りを省くことができ、発注者・受注者ともに業務の簡易化を実現します。
権限設定機能
ユーザー企業内の管理者が、企業内でのアカウントの発行権限を持ち、部署の設定や利用者登録、承認者設定等各種権限の付与を行うことができます。
承認機能
BtoB取引では発注の際、担当者のみの判断で決済をしないよう、上長による承認機能を設ける場合があります。発注内容によっては、複数の承認段階を設定する場合や、購入金額によって承認段数を変更することも可能となります。
まとめ
今回はEDIの2024年問題と関連して、BtoB ECサイトについてご紹介しました。
EDIは決まった商品を、決まった数量発注する際に便利なツールです。
一方でBtoB ECサイトは、好きな商品を好きな数量購入できるという自由な購買が可能となります。
EDIシステムの切り替え先の候補としては、BtoB ECサイトのほかにもWeb-EDIに切り替えるケースも考えられます。
ですが、Web-EDIは標準化がされておらず、発注企業ごとに仕様が異なるため人が介在することが多くなり、EDIの本来の目的である「自動化」を実現することはできません。
しかしWeb-EDIを活用する際は、RPAを用いて業務を自動化できる場合があります。弊社ではECサイトの構築だけでなく、RPAのロボット開発支援も実施しており、お客様の業務の自動化を実現しております。
日本システム開発株式会社では、BtoB ECサイトの豊富な構築実績がございます。
まだシステムの移行がお済みでない方や、Web-EDIをご利用中で業務の自動化を実現したい方、今後BtoB ECサイトのリリースをお考えの方など、お困りの際は、お気軽に日本システム開発株式会社へお問い合わせください。