【EC事業者向け】いま取り組むべき3つのセキュリティ対策

― 改ざん・情報漏洩・サービス停止、それぞれに潜むリスクと対応策 ―
昨今、不正アクセスやクレカ情報流出等の報道を目にすることが多く、
自身のECサイトも被害に遭うのではと不安に思われている方も多いのではないでしょうか。
かっこ株式会社が公開した「クレジットカード情報流出事件に関する統計とECに関する不正利用傾向に関するレポート(2024年4-6月版)」によると、
2024年はECサイトからのカード情報流出件数が前年比で急増しており、
また不正ログインの被害にあったことがある事業者は過半数を超えているようです。
オンラインショッピングが私たちの生活に不可欠となったことにより、
ECサイトのセキュリティ対策はこれまで以上に重要になりました。
ECサイトは、商品の販売チャネルであると同時に、顧客情報や決済情報を扱う重要な情報資産でもあります。
一度でもセキュリティインシデントが起きれば、顧客の信頼を失い、ビジネスに甚大な影響を与えかねません。
本コラムでは、ECサイトにおける代表的な3つのインシデントについて、それぞれの原因・影響と、
事業者の皆さんが取り組むべきセキュリティ対策をご紹介します。
1.Webサイトの「改ざん」:顧客が被害者になるリスク
改ざんとは、悪意ある第三者がWebサイトのファイルやコンテンツを勝手に書き換える行為を指します。
多くの場合、次のような経路から行われます
- WebアプリケーションやCMSの脆弱性を突かれる
- 管理者の端末がマルウェア感染し、ログイン情報が盗まれる
- パスワードの使い回しや初期設定のままの認証情報を悪用される
影響
サイトが改ざんされることで、顧客が被害者になる可能性が高まります。
- フィッシングページへの誘導:偽のログイン画面や決済画面へ誘導される
- マルウェアの拡散:訪問者の端末にウイルスを仕込まれる
- 検索エンジンからの除外:Googleなどで「このサイトは危険です」と表示される
結果として、「信頼できないサイト」として認識されてしまい、再訪率やコンバージョンが著しく低下することになります。
対策
・CMSやプラグインの最新化、脆弱性パッチの即時適用:
古いソフトウェアには既知の脆弱性が存在することが多いため、定期的に更新することで不正侵入のリスクを大幅に下げられます。
・WAF(Web Application Firewall)の導入:
WAFは、サイトへのリクエストを監視し、SQLインジェクションやXSSなどの攻撃を自動でブロックする仕組みです。外部からの改ざんの試みを防ぐ第一線の防御になります。
・改ざん検知システムでの定期スキャン:
定期的にWebページの内容をスキャン・監視し、意図しない改変があった場合に即座にアラートを出す仕組みです。被害の早期発見と復旧が可能になります。
2.個人情報・クレジットカード情報の「漏洩」:企業に重い責任が問われる
情報漏洩は、サイト内部に保存・通過する顧客情報やカード情報が外部に流出することを指します。
特にECサイトは顧客の個人情報・決済情報を扱うため、被害の影響範囲が非常に大きくなります。
代表的な原因は以下の通りです
- サーバやデータベースの脆弱性
- JavaScriptライブラリの改ざんによるスキミング(Magecartなど)
- 管理体制の甘さ(権限の過剰付与、パスワードの共有など)
影響
このインシデントは、企業側が加害者として責任を問われることが多くなります。
- クレジットカードの不正利用による補償義務
- 個人情報保護法に基づく報告義務や行政指導
- 顧客からの集団訴訟・損害賠償リスク
- 取引先からの契約停止や信用調査への悪影響
漏洩した事実が報道されることで、ブランド全体の評価が長期的に低下する恐れもあります。
対策
・カード情報の非保持化:PCI DSS準拠の決済代行サービスを利用
カード情報を自社で保存・処理せず、PCI DSS準拠の外部決済代行サービスに委託することで、情報漏洩の根本的なリスクを排除します。
・定期的な脆弱性診断とペネトレーションテスト
定期的に専門家による診断を行い、Webアプリケーションやサーバに存在するセキュリティホールを早期に特定・修正することが、情報漏洩の予防に直結します。
※ペネトレーションテスト:サイバー攻撃を模倣してシステムへの侵入を試み、セキュリティの脆弱性を評価するテスト
3.DDoS攻撃や大量アクセスによる「サービス停止」:機会損失と業務停止の恐れ
DDoS(分散型サービス拒否)攻撃とは、大量のアクセスを一斉に浴びせることで、Webサーバやネットワークの機能を停止させる攻撃です
- 特定イベント時(セール・新商品発売など)を狙うケースが多い
- その会社や政治的・宗教的理由による抗議目的の攻撃
- ライバル企業や悪質な個人による業務妨害
影響
このインシデントでは、ECサイトそのものが利用できなくなることが最大の被害です。
- 商品購入ができない状態が長時間続く → 直接的な売上損失
- カスタマーサポートへの問合せ増加による業務負担
- キャンペーンや広告費が無駄になる可能性
- 「重い」「つながらない」といったユーザー体験の悪化
一度このような状態になると、「アクセスできない=信頼できない」と判断され、リピーター離脱にもつながります。
対策
・CDNやクラウドWAFを活用し、トラフィックを分散・遮断:
世界中に分散したサーバでトラフィックを分散処理することで、攻撃による一極集中を避け、アクセス負荷を平準化できます。
・不要ポートやアクセス元のレート制限設定:
一定時間内のアクセス回数や通信量を制限し、不自然な大量アクセスを自動的に遮断することで、攻撃の影響を軽減します。
まとめ:3種の脅威-それぞれに異なる影響と対策を
インシデント | 主な被害の方向 | 対象 | 主な対策 |
サイト改ざん | 顧客に被害 | 顧客 | WAF、改ざん検知、定期診断 |
情報漏洩 | 法的責任と信頼失墜 | 企業 | PCI DSS準拠、非保持化 |
サービス停止 | 売上損失・業務混乱 | サービス全体 | CDN、アクセス制限、DDoS対策 |
EC事業者としては、すべてのセキュリティリスクに一律に対応することも大切ですが、
「どのリスクが自社にとって最も致命的か」を明確にし、それに応じた対策を段階的に実行していくことが重要です。
ご相談・お問い合わせはこちらから
ECサイトにおいて、セキュリティは、一度対策を講じれば終わりというものではありません。
サイバー攻撃の手口は日々巧妙化しており、EC事業者は常に最新の脅威に対応し続ける必要があります。
EC事業者にとっては、「販売」だけでなく「防御」もビジネス継続の鍵なのです。
自社ECサイトのセキュリティ対策についてお悩み・ご不安がございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。